のんの愛機ギブソンとロック魂!ライブを揺さぶるステージ裏の真実
のん ギターを深く低く構え、歪んだコードを一発鳴らす。その音圧と立ち姿に、もはや観客は「女優のサイドプロジェクト」という色眼鏡を完全に外さざるを得ない。声優として歴史的大ヒットを記録した『この世界の片隅に』や、圧巻の演技が話題を呼んだ主演映画『さかなのこ』など、映像の世界で非凡な才能を見せてきた彼女だが、ステージ上の彼女は純粋なロックンローラーそのものだ。自身が主宰する自主レーベル「KAIWA(RE)CORD」から放たれる粗削りでエネルギッシュなサウンドは、Spotifyをはじめとするストリーミングサービスを通じて国内外の音楽ファンを驚かせている。
近年の日本の邦楽ロックシーンでは、多彩なアクトが個性を競い合っているが、ライブハウスの爆音の中で鳴り響くのん ギターのリフは独特の鋭さを放つ。彼女はいかにしてこの楽器と出会い、自身の衝動を音へと昇華させるに至ったのか。現在、世界の音楽エンターテインメント産業が加速度的に変化を遂げる中、流行に流されず直感と衝動を信じる彼女のスタイルは、多くの音楽ファンを惹きつけて止まない。
愛機レスポール・スペシャルとギブソンの密接な関係
彼女のトレードマークと言えば、鮮やかな黄色のボディが目を引くギブソン(Gibson)の「レスポール・スペシャル」だ。老舗ギターメーカーであるギブソン・ブランズの歴史の中でも、シンプルかつ武骨な構造で知られるこのモデルを、彼女は長年愛用し続けている。ソリッドボディにマウントされたP-90ピックアップから放たれるサウンドは、太く、歯切れが良く、そしてどこか泥臭い。それが彼女の直情的なボーカルと見事な化学反応を起こす。
「飾り気のない素直な音が出るから好き」。彼女は過去のインタビューでそう語っている。複雑なエフェクターをいくつも経由させるのではなく、アンプに直結に近い形で歪ませる音作り。過剰な装飾を削ぎ落としたそのギアの選択こそが、彼女の音楽的な意志を雄弁に物語っている。
師・仲井戸“CHABO”麗市から継承したロック・スピリッツ
彼女のギタープレイを語る上で欠かせない存在が、元RCサクセションのギタリスト、仲井戸“CHABO”麗市だ。日本のロック界のレジェンドであるCHABOとの出会いは、彼女のプレイフォームやステージでの立ち振る舞いに計り知れない影響を与えた。
コードの押さえ方一つから、ギターという楽器をどう体の一部にしていくか。単なる技術の伝授にとどまらず、CHABOから受け継いだのは「音で嘘をつかない」というロックの根幹をなすスピリットだ。彼女が歪んだ弦を掻き鳴らすとき、そこには昭和から平成、そして令和へと受け継がれてきた邦楽ロックの濃密な血脈が確かに息づいている。
自主レーベルKAIWA(RE)CORDと2026年最新音楽活動の全貌
2017年に発足した自らのレーベル「KAIWA(RE)CORD」は、2026年の現在も彼女の自由なクリエイティビティを支える強力な拠点であり続けている。誰の顔色もうかがわず、自分が「格好いい」と思える音だけを追及する環境が、彼女の音楽をより純度の高いものへと研ぎ澄ませた。
近年の楽曲では、初期のガレージパンク的な疾走感に加え、重厚なオルタナティブ・ロックの要素も貪欲に取り入れている。国内ツアーはもちろん、Netflixで配信中の世界的人気ドラマやドキュメンタリーでの楽曲起用をきっかけに、海外のリスナー層も急拡大。Spotifyの月間リスナー数は右肩上がりを続けており、日本のインディペンデントな音楽制作の成功例としても高く評価されている。
スクリーンからステージへ:表現者としての進化と衝動
女優としての成功が音楽活動の邪魔になることはない。むしろ逆だ。『この世界の片隅に』で魅せた繊細な感情表現や、『さかなのこ』で演じた純粋無垢な情熱は、そのままライブステージでのダイナミズムへと変換されている。役者として他者の人生を生きる経験が、楽曲の歌詞やメロディに深みを与えているのだ。
映像作品の現場で培った「集中力」と「現場の空気を一瞬で掴む感覚」は、ライブという一発勝負の場でも遺憾なく発揮される。照明を浴び、観客の視線が一身に集まる瞬間、彼女は女優「のん」から、音の塊をぶつける一人のギタリストへと一瞬で変貌を遂げる。
ステージで観客を圧倒するライブパフォーマンスとバンド活動の裏側
ライブでの彼女のパフォーマンスは、まさに圧巻だ。髪を振り乱しながら頭上でコードをかき鳴らし、ステージの端から端まで全力で駆け抜ける。そのダイナミックなアクションは、計算された演出ではなく、体内から湧き出る衝動そのものに見える。
バンド活動の裏側を取材すると、そこには徹底的なスタジオワークとメンバーとの緊密な対話が存在する。リハーサルでは納得がいくまでフレーズを確かめ合い、リズム隊とのグルーヴを練り上げていく。本番で見せるワイルドなプレイの影には、プロフェッショナルとしての泥臭い積み重ねがあるのだ。バンドメンバーとの信頼関係に裏打ちされたグルーヴ感は、2026年の最新ライブツアーでも観客を熱狂の渦へと巻き込んでいる。
邦楽ロック界に刻む新たな足跡と未来へのコード進行
めまぐるしく変化する音楽エンターテインメント産業において、彼女のように「女優」と「本格的なロックミュージシャン」を高次元で両立させる存在は極めて異彩を放っている。流行のデジタルサウンドが席巻する時代だからこそ、彼女が鳴らす生のレスポール・スペシャルの歪みが、聴く者の胸を強く揺さぶる。
表現の枠組みにとらわれず、衝動のままに弦を弾き続ける彼女。その手から解き放たれるディストーションサウンドは、これからも日本のロックシーンに新しい風を吹き込み続けるはずだ。 (出典: のん ギター(Yahoo!ニュース))